“《Summer Pockets》 Short Story~在夏日的绚烂之中~久岛鸥篇”的版本间的差异

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2020年1月25日 (六) 14:22的版本

作品: 《Summer Pockets》 Short Story~在夏日的绚烂之中~

久岛鸥篇】

作者;新岛夕

译者:书书

屬於《Summer Pockets》官方網絡上免費發佈的前日談故事:http://key.visualarts.gr.jp/summer/special_ss.html

日本語 中文

<いつかきた道>

「鍵、見つからないねぇ」
「そうだなぁ」
 時刻はちょうど正午を過ぎたところだ。
 いったんお昼ご飯を食べてから合流したものの、お互いこれといった妙案は浮かばないままだった。
「海神が守護するカイテイ、か」
 メモのヒントを手がかりに一通りあたってみたけど、それらしきものはまったく見つからなかった。
「ねぇ、やっぱり海神って、海亀のことなんだよ。海底なんて亀にでも乗らないとたどりつけないよ」
「絶対にない」
 私と羽依里はメモに残された鍵の在りかを探して、島を歩き回っていた。
「あとな、お前当たり前のように人にスーツケースを押させるな」
 そう。正確には歩いているのは羽依里だけで、私はほとんどスーツケースの上だった。
 いや、これはこれでけっこう大変なんだよ?バランスとか。
「筋トレ大好き羽依里君じゃないの」
「ふん。このくらいで鍛えられるか……このくらいやらないとなっ」
「おおお」
 スーツケースが速度を増す。舗装されたまっすぐの道路を風をきりさいて、気持ちよく進んで行く。
 私は思わず空に向かって手を広げていた。
「音速を、越えそうだよ」
「越えるか」
「と……?」
 がくんと、いきなりスーツケースのバランスが崩れる。
「わ、わ、わ」
 私の体はそのまま宙に放り出されて──
「危ない──」
 地面に衝突した──と思った私の体は、意外にもやわらかな感触に受け止められた。
 やわらかというか、ややごつごつというか。
「ぐぐ……」




 下からうめき声がする。そうか、羽依里をクッションにしていたんだ。
 私は羽依里におおいかぶさるように倒れていた。
「ど、どうも……ありがとう」
 慌てて起き上がる。
「いや……むごっほむごっほ」
 羽依里が咳き込んでいた。
「あ、ごめん。苦しかったね」
「むごっほ!」
 すごい咳き込んでいる。私、そんなに重くないけどな。
「いやぁ、びっくりしたね」
「ほんとにな」
「何かにつまずいたみたいだけど……いや、これは……」
「あー! タイヤがとれてる」
 スーツケースのキャスターの1つが外れてバランスを失っちゃったんだ。
「まぁ、古いスーツケースだしこういうこともあるだろう」
「困るよ……こんなの……こんな……」
 私は愕然としていた。
「鴎……。おとーさんが残したスーツケースだったよな。それは確かにショックだろう……」
「ショックだよ! このスーツケースが無くなったら私は羽依里に、何で運んでもらったらいいの」
「一輪車にでも乗っておけ!」
「羽依里、一輪車の難しさ知らないでしょ。あれ、くいってなるからねくいって」
「分からん。というか多分食い違っているが、俺が言ってる一輪車ってのは荷台ついてるやつだぞ」
「一輪車が二台?? なに」
「いや、いいや……これどうしようか」
「スーツケース、どこか修理してくれるところとかないかな」
「そうだな……修理屋なんて店はなさそうだけど、それっぽいところなら相談してやってくれるかもしれないな。ちょっと知り合いに聞いて見よう」
「知り合いって?」

※※

 私はその場にとどまって、羽依里が山まで友達を呼んできてくれた。
 加納天善君。廃屋で卓球をしている男の子だ。
 なんでも、以前動かなくなったバイクを見てくれたらしい。確かにジャージ姿は、なんとなくいろいろと修理できそうな感じだった。
「スーツケースの故障?」
やってきた天善君は私と壊れたスーツケースに少し面食らったみたいだ。
「いや……すまんが、エンジンを直すのとはわけが違うからな。これは、代替の部品がないとどうしようもない」
「そうだよな。なぁ。そういう店って心当たりないか」
「んー……。まぁ、あるとしたらあそこかな」
「どこ、それ」

※※

 3人で連れ立って、商店街の一角へ向かう。
 案内されたのは、『徳田スポーツ』というお店だった。
「たのもう!」
 天善君が無駄に威勢の良い挨拶で入っていく。
「なんだ、お前ら。ぞろぞろと。徳田に何の用だ」
 気取り顔の男の子が出てくる。
「実はこの子のスーツケースが壊れてて……」
 羽依里がこちらを指さす。
「これ、ここで修理してほしいの」
「ふーん?」
 徳田君?はしばらく私のスーツケースを眺めたあと、ため息を吐いて、店の奥を指さした。
「こんな古いものより、新しいスーツケースにしたらどうだ。徳田の特注品だぞ」
「だってさ」
 羽依里が振り返るけど私は手を振る。
「いーやだ。かっこ悪いし」
 奧に置かれているのは、なんだかえらそげな形をしたいかにも最先端でございますという感じの、青いスーツケースだった。
「なんだその女は。お前、徳田のクオリティを舐めるなよ。お前が乗ってもびくともしないコスモナイト製だぞ」
「徳田クオリティなのかコスモナイトクオリティなのか、どっちだ」
「お前が乗ってもってなによ。そもそも私はそんなに太ってないですわい。行こう。不愉快だよ」
「ふゆか……っ!? いいだろう! そこまでいうなら20万のところを半額にしてやる。女心へのサービスだ」
「こりゃダメだわ」
「ダメだな」
「お、おい。お前ら、何が気に入らなかったんだ。このクオリティが目に入らないか」
「悔い改めろ!」
 私は指を指して叫んでいた。
「くい、あらた……」
 呆然とする徳田クオリティ君を置いて私達は出て行く。

※※

「やれやれ。女心が分からない奴だな」
「まったくだ」
「まったくだよ」
「よりにもよって青のスーツケースはないよな」
「ないよな」
「え?」
「男にピンクのスーツケースを勧めたら気を悪くするのと同じだな」
 二人してうなずき合っているけど、私が怒ったのはそこじゃない……。
「しかし困ったな。スーツケースの修理……すぐには思いつかないな。なんといっても部品がないことにはな」
「そっか」
「力になれなくてすまない」
「いや、いいよ。ありがとう」
「ありがとうございます」
 私と羽依里は天善君に頭を下げる。
 天善君は山へ帰っていった。
「どうする? 修理は難しそうだが……」
「ううん……やっぱり、探そう」
「新しいスーツケースってのも手じゃないか?」
「ダメ。これじゃないと」
「そっかよ。けど困ったな。地元の人間でも心当たりがないんだから、見つからないんじゃないか」
「のんのん羽依里。島の人達が知らない海賊船を探している私達が、修理屋さん程度を見つけられなくてどうするの」
「わかるようなわからないような理屈だな……」
「ね、ね。こっちとかありそうじゃない」
「ありそうか? お前、体力大丈夫か?」
「大丈夫だよ。れっつごー」

※※

 なんの根拠もなく私達は目についた路地を、手当たり次第歩いていく。
 表通りよりもいっそうさびれた細い路地は、旧い家屋に挟まれて、洗濯物が揺れていたりかすかなテレビの音が聞こえてきたりする。
 それは私が住んでいた町の景色とも全然違うんだけど。
 どうしてかな。妙に懐かしくて……子どもの頃から知っていた道を行くように、私は歩いていく。
 と、その時……
「ねぇねぇ、羽依里。なんかお店があるよ」
「店?」
 民家の並んだ途中に、異質な風情を漂わせる一軒家がある。
 玄関にはぼろぼろの看板がさがっていて、漢字で一文字『鞄』と彫られていた。
「鞄屋さんだって!」
「ええ。こんなところに……鞄屋? 『鞄さん』のお家じゃないよな」
「この際それでもいいから、いってみようよ」
「いい加減な」
 お店?らしき建物をのぞき込む。
 だいぶ年季のはいったガラスのディスプレイには、革の鞄が飾られている。確かに、鞄屋さんらしい。
 そっと玄関の扉に手をかけると、ゆっくりと開いていく。
 磨りガラスからさしこむ光だけに照らされた、薄暗い店内に私と羽依里はそっと入っていく。
 ……店内は薄暗く、ところせましと革製の鞄が並んでいる。
「あれ、いらっしゃい」
 カウンターの奧から白髪に丸眼鏡をかけたおじーさんが顔を出す。
 若いお客さんが来るのが珍しいのか、眼鏡を直しながらしげしげと私たちを見つめた。
「あの、これなんですけど。キャスターのところが壊れちゃって見てもらうことはできますか」
「ふむ? これまたずいぶんと古いスーツケースじゃな。ちょっといいかな」
 おじーさんはよいしょと、手慣れた動きでスーツケースを台の上にのせる。
「ふむ……ふむ……ふむぅ??」
 スーツケースを調べながら、おじーさんがうめいている。
「ふむぅ? おう……おう」
 不思議な相槌をうつおじーさん。
「ど、どうしたんですか」
「なんと、これは……うちで作った鞄じゃないか」
「え、ええええ」
 私と羽依里は同時に、声をあげた。
「これ、パパのスーツケースなんです。じゃぁ、もしかしてパパはここで……」
「あぁ……そうじゃ。覚えておるぞ。こんな店でスーツケースを買っていく客なんてまずいないからの。これも、ただの展示用のつもりじゃったんだが。あの日は……」
 おじーさんは懐かしそうに目を細めながら宙を見つめる。
「若い夫婦がやってきての。確かお土産を買いすぎて、急遽スーツケースが必要になったとか」
「若い夫婦……パパとママがここにきて、これを買った……?」
「うん。間違い無い」
「あのこれ、修理って可能ですか」
「ふーむ。なにせ昔のものだからの。まったく同じ部品はないが、それでも替わりになりそうな部品ならある。少しそこで待っておってくれ」
 おじーさんは店の奥にある棚をごそごそと探し始める。
「しかし君が、あの時の子ということか。こいつはすごい」
 部品を探しながら、おじーさんが話す。
「ええ!? 私はその頃まだいなかったはずですが」
「いやいたよ。……ちゃんと、お腹の中に」
「あ……」
「仕事が忙しかったけど……奥さんが妊娠して休みに入ったとかで、遅めの新婚旅行と言っていたよ。仲の良い2人だった」
「そうなんだ……」
「すごい偶然だな」
「うん」
 パパとママが新婚旅行でこの島に来ていた。
 そしてその時、私もすでに……ちゃんと存在していたんだ。
「それで、君達も新婚旅行でこの島に?」
「は!? ちちち、違います! お宝を探してるんです」
「おたからをさがしてる??? ほっほう。それは、子宝のことかの」
「ぶ──」
 私ははげしくむせた。
 このおじーさん、ちょっとセクハラ気味……
「違います。海賊船を探しているんです」
「か、海賊船とな。……ふむ、昔は少し行ったところに模型屋があってな。ワシの幼馴染みがやっていたが」
「そうじゃなくて本物のかいぞく……むごごご」
 食い下がる私の口を、羽依里が後ろからおさえた。
「いやいや、観光ですよ」
「ふぉっふぉ。そういえば君のご両親も、何かを探してこの島に来たと言っていたな」
「なんと。パパ達も海賊船を?」
「いや、なんだったかな……何か言っていた気がするんだが。……っと、あった。これじゃ」
 おじーさんは棚の中からキャスターを取りだし、鞄にもっていく。
「うむ、これならはまりそうじゃ。取り付けるのに少し時間がかかるが、どうするかね」
「うーん。じゃぁ、そのへんぶらぶらしてようか」
 お店の中はだいぶ狭くて、ここで待たせてもらうのも迷惑になりそうだった。
 それになんだか私も、落ち着かない気持ちだった。
 パパ達もここにきて、何か捜し物をしていた。それってなんだろう?




※※

「どこに行く?」
 とりあえず店から出た私と羽依里は、細い路地を眺める。
「海の音が聞こえるね」
「そうだな。歩いているうちに、けっこう海の方まできていたんだな」
「向こうかな」
 細い路地の向こうに、かすかなきらめきが見える。
 海に反射している光かもしれない。
 と……
「蝶々」
 綺麗な、細い路地をゆらゆらと飛んでいる。
「蝶? どこに?」
「ほら、あれ」
「んん?」
「行ってみよう」
「お、おい!」
 飛んでいく蝶を私は小走りに追っていく。

『見て。向こうに海が見えるわ』
『うん。あそこだ』

 歩きながら、誰かの声が聞こえた。
 私はその声を知っている。
 泣きたくなるぐらい、懐かしい声。

※※

「おい、鴎。どこまで……」
「ここは……」
 路地を抜けて小さな階段をのぼる。
 そして、そこは……海を目の前に眺める、岸辺になっていた。
 日差しをあびて、海はキラキラ輝いている。
 そんな輝きの中へと、蝶は消えていった。
 岸辺の両端は切り立った崖になっていて、小さな柵がつけられている。
 街を背中にして、まわりを海に囲まれた小さな空間。
 なんだか世界から隔絶された場所みたいだった。
「ふぅ」
 少し脚が痛む。蝶を追いかけて、無意識に走ってしまった。
「なんか疲れちゃった。横になろう」
「調子のって、歩きすぎだ」
「ほら、羽依里も。気持ち良いよ、ここ。木陰になってるし」
「まったく」
 私と羽依里は木陰に座り込む。
 そのままぼんやり海の音を聞きながら空を見ていた。
 一日いろいろなところに行った疲れもあり、しだいに私の意識は眠りに誘われていく。
 半分落ちかけたまぶたの向こう。ふわりと、ひとひらの蝶が飛んでくる。
 私はそっと手をのばす。
 蝶がふわりと、私の指先にとまるのを見た。


『いや、悪いね。今日は体調悪くて』
『まったく。女の私があなたをスーツケースに乗せて推していくなんて、ひどすぎだわ』
『だいぶ改良してあるから、君の力でも苦ではないはずだよ』
『そういう問題じゃ無くて。……まぁいいわ。で私達はどこに向かってるの? こんな路地を通って』
『ほらあそこだ。もう少しがんばって』
『はいはい……。ここ……? きれいね。海に囲まれた崖……』
『うん。この景色を見せたかったんだ。5年前にフィールドワークにきて……この夕焼けを見て。絶対に君と見ようって決めていた』
『ありがとう』
『ねぇ。次は……3人で見られたらいいわね』
『うん。そうだね』

「おい。おーい」
「え」
 呼びかける声に、私はうっすらと目をあける。
 羽依里があきれ顔で私をのぞき込んでいた。
「いつまで寝てるつもりだ。夜になるぞ」
「え、ええ」
 見ればあたりは、薄暗くなりはじめている。日暮れ間近だった。
「そんなに寝ていたんだ」
 水平線の彼方には、太陽がゆっくりと沈みながら空と海を赤く照らしていた。
「きれいだね」
「まぁな」
 ぼんやりと、私はさっきまで見ていた夢を思い出していた。
 あれは夢? あるいは私の記憶……。
 そうか。パパとママも、そして産まれる前の私も、この島に来ていたんだ。
 その時のこと、もしかしたら覚えていたのかな。

 路地裏を探索してるときの、懐かしい気持ち。
 偶然見つけた鞄屋さん。
 そして、二人が夕日を見た岸辺。
 そこにたどりつけたのは、私がお腹の中からその光景を感じていて、かすかに覚えていたからかもしれない。
 だとしたら、すごいことだよね。

※※

「ほら、直ったよ」
 鞄屋さんに戻ってくると、おじーさんはとっくに修理を終えてくれていた。
 新しいキャスターをとりつけたスーツケースを渡してくれる。
「ありがとうございます! あの、お値段のほうは……」
「いいよ。永年保証がうちの売りでね」
「ほんとですか。ありがとうございます」
「いやいや、親子二代にわたって使ってくれるなんて、こちらこそうれしいよ」
「えへへ」
「そうそう、思い出した。お前さんのご両親のことだ」
「え?」
「この島をめぐりながら、名前を考えていると言っておった」
「名前って」
「私の?」
「うん。この島が好きだから、この島で大事な子供の名前を見つけたいんですって。そうだ、そんなことを言っていたな」
「それで帰りがけに寄ってくれて、名前決まったとか言っていたな」
「決まったって……つまり、私の名前が決まったってことだよね……」
「鳥が飛んでいるのを見たそうだよ」
「その光景がすごくきれいで、その時に名前はもう決まったって」
「そうか、それで私は……」
「君は……うみねこちゃんなんだね」
「はい。久島海猫です。こんにちは」
 と自己紹介をしてから、私は慌てて打ち消す。
「いやいや、鴎です。うみねこ違います」
「あれ、そうなのか。しかしここの海に、鴎は飛んでいないはずだが」
「もしかしてご両親、うみねこと鴎を勘違いしたんじゃ」
 羽依里が推理を口にする。
「そんなバカな理由嫌すぎる……」

 ──うみねこ?──

 懐かしい声が聞こえた。
「あ……」
「鴎?」
 ふっと、私はさっき岸辺で寝転びながら見ていた夢の続きを思い出していた。

『名前、決めたわ。うみねこよ』
『な、なんだって?』
『あそこで飛んでいるうみねこみたいに、元気な子に育ってほしいわ』
『作家のセンスにはちょっとついていけないな』
『ダメなの』
『うみねこちゃんって、のは……うーん』
『可愛いわ』
『せめて、鴎ちゃんとか』
『あれは鴎じゃないわよ』
『そうだけど、似たようなものさ』
『似たようなものって。あなたも、学者のくせにいい加減ね』
『それとこれとは別だからね』
『鴎……久島鴎……。でも良い名前かもしれないわね』
『だろう』

「鴎?」
「へ?」
 ぼーっと物思いにひたっていたらしい。羽依里の声で我に返る。
「大丈夫か?」
「う、うん。ごめん。あの、おじーさん、ありがとうございます」
「あぁ。今度は君たちの子供がそのスーツケースを持って現れるのを楽しみにしてるよ」
「い、いやいやいや。だから。そもそもおじーさん、いくつまで生きるつもりですか」
「はっは」

※※

 鞄屋さんを後にして、私達は帰路につく。
 日はほとんど落ちかけて、空にはうっすらと星が浮かび上がっていた。
 新しいスーツケースにまたがって、羽依里に押して貰いながら、
 私は空を見上げていた。
「ね! 羽依里。私達も見つけられるかな」
「え、え」
 私の言葉に、羽依里は妙に動揺している。
「見つけるって……その……子供の名前?」
「ぶっ」
 危うくスーツケースから落ちかけた。
「な・ん・で・よ」
「いや、話の流れから」
「海賊船だよっ」
「あ、あー。そっちね。てかほんとにあるのか」
「当たり前だよ。あるに決まってるの」
「どこからそんな自信がくるのか」
 羽依里が呆れている。
 どこからって。それは、この路がいつか来た道だから。
 子供の頃に皆で通った道だって知ってるから。
 ひげねこ団の皆と大冒険を繰り広げた道。
 大事な思い出に続く道。
「じゃぁ、スーツケースも新しくなったし。明日から改めて、海賊船を探してしゅっぱーつ!」
「はいはい」
 スーツケースは軽快な音をたてて、いつか来た道を再び進み始める。

<似曾相识的小路>
 
「钥匙还是找不到啊」
「是啊......」
 中午刚过。
 我们虽然都吃过了午饭,可还是没有什么头绪。
「海神所守护的海庭啊......」
 本子里有关提示的线索都找过了,可依旧找不到比较贴近的东西。
「我说,这个海神还是指的海龟吧?毕竟不坐海龟怎么能到海底呢?」
「这不可能好吧」
 我和羽依里为了找到本子里所说的钥匙,现在正在岛上到处游走。
「还有啊,你能不能不要理所当然地坐在行李箱上,还要让别人推啊」
 嗯,严格来说只有羽依里是在走的,我则是坐在了行李箱上。
 可是这也不容易啊,特别是还要保持平衡。
「羽依里不是最喜欢锻炼肌肉嘛」
「哼,这哪叫锻炼啊……这样才叫锻炼!」
「噢噢噢」
 速度变快的箱子沿着笔直的道路直冲下去,海风也舒服地吹过脸庞。
 我不禁面向蓝天张开了双臂。
「感觉都能超越音速了」
「怎么可能」
「嗯……?」
 突然传来一声闷响,行李箱也失去了平衡。
「哇,哇,哇」
 我整个人都飞出去了──
「危险──」
 本来以为我会直接摔到地上——不过好像最后摔在了很柔软的东西上。
 虽然我也不知道这到底算软还是稍微有点硬……
「呜……」

 


 下面传来了几声闷叫,原来是羽依里充当了缓冲垫啊。
 我整个人都摔到在羽依里身上了。
「这,这个……谢谢」
 我慌慌张张地爬了起来。
「没事……胸咳咳」
 羽依里突然咳嗽起来。
「啊,不好意思,有点难受吧」
「胸咳咳!」
 看起来他咳嗽得很厉害,我明明没那么重啊。
「哎呀,真是吓了一跳」
「就是啊」
「好像是被什么卡住了一样……等等,这个……」
「啊! 轮子掉了!」
 原来是行李箱的一个轮子掉了,才会失去平衡的。
「没办法啊,毕竟是这么旧的箱子,这点状况还是很难避免啊」
「麻烦了……这个……这……」
 我整个人都呆住 了。
「鸥……这好像是你父亲留下的行李箱吧,确实会有点受打击……」
「很受打击好吗! 没了这个行李箱,羽依里该用什么来运我啊」
「你干脆去坐独轮车算了!」
「羽依里,你根本不知道独轮车有多难弄吧。啊,好像也会摔啊」
「没听懂。估计你想到别的去了吧,我说的独轮车可是带板子的?」
「独轮车什么??」
「算了……这个该怎么办啊」
「有没有地方能修一下这个行李箱啊」
「我想想啊……专门的修理店我记得是没有的,不过我去问问我熟人,没准他会帮忙修一下」
「熟人是谁啊?」

※※

 我站在了原地,羽依里跑到山里把朋友叫出来了。
 加纳天善,那个窝在废弃房屋里练乒乓球的男孩子。
 听羽依里说,之前他帮忙修过摩托车。确实,这一身运动外套,看着就给人一股修理师的气息。
「行李箱故障?」
天善看着我和坏掉的行李箱,好像有点退缩。
「这个……抱歉啊,修这个和修机器还不是一个原理。这玩意如果没有替代品还真的修不了」
「说的也是,对了,你知道有修这个的地方吗」
「嗯……这个,真要说的话只有那里了」
「那里是哪里啊?」

※※

 我们三人一路走到了商业街的一角。
 前面那家店,门牌上写着『德田体育』。
「拜托了!」
 天善他特意打招呼打得很有气势。
「怎么啦,你们,这么鬼鬼祟祟的,找我德田有啥事儿啊?」
 有个脸蛋特白净的男孩子走了出来。
「主要是她的行李箱坏了……」
 羽依里指向了我这边。
「希望能在这修下这个箱子」
「嗯……?」
 徳田看了一会我和行李箱,叹了口气,指向了店里面。
「与其说修个这么旧的箱子,你不如买个新的吧,这个可是我们德田家的特制品哦」
「你看呢」
 羽依里回过头来问我,我直接摆起了手。
「不要,这个不好看」
 店里面摆着一个看起来很气派、散发着最尖端气息的蓝色行李箱。
「这女人什么意思啊,你在小看德田质量吗。这玩意可是你坐上去都不会变形的cosmoknight制造啊」
「到底说德田质量还是cosmoknight质量啊?」
「什么叫‘你坐上去’啊。我没那么胖好吧。走吧,一点都不开心」
「什……!? 好吧! 你这么说我就打个半价,20万!这可是给女人心的优惠啊」
「这人不行了」
「不行了」
「喂,你们到底哪里不满意啊,这质量你们都看不上吗」
「给我好好悔过去吧!」
 我用手指着他大喊到。
「悔,过……」
 我们丢下已经呆滞了的德田质量离开了体育店。

※※

「啧啧,这人完全不懂女人心嘛」
「真是的」
「就是啊」
「偏偏蓝色的不行啊」
「是不行啊」
「嗯?」
「就像给男的推荐粉红色的箱子一样让人恶心啊」
 虽然这俩人似乎达成了一致,可我生气的地方不是那里啊……。
「可这不好办啊,这箱子……我也想不出该怎么修,最主要的是没有可替换的零件啊」
「这样啊」
「帮不上忙真的很抱歉」
「没事的,谢谢啊」
「谢谢你啊」
 我和羽依里向天善道了谢。
 天善回到山里去了。
「怎么办? 修好像是不太好修……」
「不……还是去找找吧」
「买个新的不行吗?」
「不行,不是这个不行」
「行吧,可这也不好办啊,本地人都不知道,我们估计也找不到啊」
「NONO羽依里。我们可是要找连当地人都不知道的海盗船啊,连个修理店都找不到怎么行呢」
「你这话绕得我云里雾里的……」
「你看,这边好像就有啊」
「有吗? 还有,你体力跟得上吗?」
「没问题的,let’s go!」

※※

 我们一步步走在直觉选择的小路上。
 这条小路比看上去的还要狭小和荒芜,旁边偶尔会有几家老旧的宅院,还有洗干净的衣服在飘荡,甚至还能听到电视的声音。
 这和我住的地方完全不一样。
 可是,总有种怀念感……我仿佛就是走在一条小时候来过的路上一样。
 然后……
「你看,羽依里。那里好像有家店啊」
「店?」
 在几个民家中,夹杂着一家不同风格的宅院。
 宅院门口有一块很破旧的牌匾,上面刻着一个汉字『包』。
「是皮包店耶!」
「这种地方……皮包店? 不会是姓『包』的一家子吧」
「这种时候怎么样都好啦,进去看看吧」
「太胡闹了吧」
 我们往店里(?)面瞅了一下。
 充满了年代感的玻璃柜子里装满了皮革包。看来这里确实是包店啊。
 我用手慢慢地推开了大门。
 我和羽依里走进了毛玻璃后稍微有点昏暗的店里。
 ……昏暗狭窄的店里,到处都是皮革制的包裹。
「啊,欢迎啊」
 柜台后面走出一位头发花白、带着圆形眼镜的老伯。
 不知道是不是因为很少有年轻人来,他特意摆了摆眼镜。
「这个,这个箱子的轮子这里坏掉了,不知道能不能帮忙修理一下」
「嗯? 这还是个很旧的箱子嘛,正好,我看看」
 老伯很熟练地把箱子摆上了柜台。
「嗯……嗯……嗯??」
 看着看着,老伯突然大声了起来。
「嗯? 哦……噢」
 老伯不可思议地频频点头。
「请,请问是怎么了吗」
「这个,这个……是我家做的呀」
「啊,啊——!?」
 我和羽依里都叫了出来。
「这个行李箱是我爸爸的。难道爸爸是在这里……」
「啊……没错,当然记得,因为没人会来这里买箱子啊。这箱子本来也只是展示品来着。那天啊……」
 老伯眯起了眼睛,似乎在追忆往事般地看着天空。
「来了一对小夫妻呢,好像是因为土特产买太多了,所以突然想要个箱子」
「小夫妻……爸爸和妈妈来到这里,然后买了这个……?」
「嗯,不会搞错的」
「那么,这个能修吗」
「嗯,毕竟这也是以前的东西啦。所以完全一样的东西没有,不过替代用的应该是有的,我去取一下」
 老伯开始在店内的柜子里翻找起来。
「可是你就是当时的那孩子啊,还真了不得」
 老伯找东西的时候突然这么说。
「啊!? 那时候我应该还不在啊」
「在呢……在肚子里呢」
「啊……」
「好像是因为太忙了……因为夫人怀孕进产假,所以才搞了个这么晚的新婚旅行吧。他们真的很美满的」
「这样啊……」
「还真偶然呢」
「是啊」
 爸爸妈妈新婚旅行的时候来到这里。
 那时候,我……就已经存在于这个世界上了啊。
「那么,你们也是新婚旅行吗?」
「哈!? 不不不,不是! 我们是来找宝藏的」
「找宝藏??? 嚯嚯,难道宝藏是说小孩子嘛」
「噗──」
 我差点喷出来了。
 这位老伯有点污啊……
「不是,我们是来找海盗船的」
「海盗船啊……嗯,以前离这里不远的地方有个模型屋来着,我发小开的」
「我不是说那个,是真的海……呜呜呜呜」
 羽依里堵住了我的嘴巴,把我拉到后面去了。
「不不不,是来旅游的」
「嚯嚯。说来啊,你父母好像也说在找什么东西呢」
「难道爸爸他们也是来找海盗船吗?」
「不是,是什么来着……好像是说了什么来着。……啊,找到了,是这个」
 老伯从柜子里掏出了一个轮子,拿到了箱子边。
「嗯,这个轮子看来能安上去。要换的话得花点时间啊,你们打算怎么办」
「嗯……要不我们就去那边转转吧」
 店里面还是很狭小的,呆在这里也很添麻烦。
 况且,我的内心也不是很平静。
 爸爸妈妈来这里是要找东西,可是,他们要找什么呢?

 


※※

「去哪里呢?」
 我和羽依里走出了小店,看着眼前的小路。
「好像能听到海浪声啊」
「好像是,看来走着走着,快走到海边了」
「好像就在那边吧」
 小路的那头有一点光芒。
 应该是大海的反射吧。
 然而……
「蝴蝶」
 一只漂亮的蝴蝶飞舞在小路之上。
「蝴蝶? 哪里啊?」
「你看,那里」
「嗯?」
「去看看吧」
「喂!」
 我小跑着追向那只蝴蝶。

『你看,那边好像能看到大海呢』
『嗯,就是那里吧』

 走着走着,我似乎听到了谁的声音。
 我知道这个声音。
 非常非常地怀念,甚至有点想哭。

※※

「喂,鸥。到底要多久啊……」
「这里是……」
 爬上小路尽头的台阶。
 那里是……能够将海岸尽收眼底的岸堤。
 海水在阳光下闪闪发光。
 蝴蝶也消失在这片光芒之中了。
 岸边的两头都是被栅栏拦起来的断崖。
 这片背靠街道,面朝大海的小小空间。
 感觉与世隔绝了一样。
「呼」
 脚有点痛,因为追蝴蝶跑得太多了。
「感觉有点累了,躺一会」
「上头了,结果跑太多了」
「好啦,羽依里也来嘛,这树底下很舒服的」
「受不了你」
 我和羽依里坐到了树底下。
 然后呆呆地看着大海,望着天空。
 今天实在是去了太多地方了,睡意也逐渐涌了上来。
 恍惚之间,那只蝴蝶似乎又出现在眼前。
 我默默伸出了手。
 我看到,那只蝴蝶停在了我的指尖上。


『哎呀,真对不起,今天身体不是很好』
『真是的,让我这个女人帮你这个坐在行李箱上的男子汉推箱子,太过分了』
『这箱子改了不少了,哪怕是你的力气也应该没问题的』
『我不是说这个啊……算了。那我们这是要去哪里呢? 还要走这种路』
『你看,就在那里。再稍微努把力』
『好好……这里……? 真漂亮啊,被大海包围的断崖……』
『是啊,我就是想给你看看这幅景色。5年前来考察的时候……看着这夕阳,就下定决定一定要给你看看』
『谢谢你』
『对了,下次……能三个人一起看就好啦』
『嗯,是啊』

「喂,喂——」
「嗯」
 我听到了叫喊声,稍微睁开了一点眼睛。
 羽依里一脸无奈地看着我。
「你要睡多久啊,都快晚上了」
「啊」
 看了看周围,已经有点昏暗了,看来是快日落了。
「我睡了那么久啊」
 在海平线的尽头,落下的太阳把海天都染红了。
「真漂亮啊」
「是啊」
 我恍惚间想起了刚才的梦。
 那是梦? 还是我的记忆呢……。
 对啊,爸爸妈妈在我还没出生的时候就来到这里了。
 难道当时的事情我就记得了吗。

 在小路里走的时候的那股子怀念感。
 偶然见到的皮包店。
 然后两人在海边看到的夕阳。
 或许,正是因为我还在肚子里的时候就感受到了这幅景象,然后就走到了这里吧。
 如果是这样那还真不得了呢。

※※

「给,修好了」
 我们回到皮包店的时候,老伯就把行李箱修好了。
 然后把轮子换新的行李箱还给了我。
「非常谢谢你! 那个,价格的话……」
「不用了,当时卖的时候就是常年保修的」
「真的吗,太谢谢你了」
「没事没事,这箱子能够用上两代人,我还觉得高兴呢」
「诶嘿嘿」
「啊对了,我想起来了,你父母当时在找的东西」
「嗯?」
「除了旅行,好像还在想名字」
「名字的话」
「我的?」
「对。因为很喜欢这个岛,所以也希望能够在这里找到孩子的名字。没记错的话是这么说的」
「然后回去的时候路过这里,好像就决定好了名字呢」
「决定好了……也就是,我的名字吧……」
「好像是看到了在飞翔的海鸟 」
「因为那景色太美了,所以就把名字定下来了」
「这样啊,那么我就是……」
「你就是……海猫小姑娘吧」
「嗯,我就是久岛海猫,你好啊」
 刚准备这么自我介绍,慌忙打断。
「不不不,我叫鸥,不是海猫啊」
「嗯,这样啊。可是这里应该没有海鸥啊」
「莫非你爸妈把海猫错认成海鸥了?」
 羽依里这么推测道。
「这理由也太傻了……」

 ──海猫?──

 耳边又传来了熟悉的声音。
「啊……」
「鸥?」
 突然间,我想起了之前那场梦的后续。

『名字决定了,就叫海猫吧』
『你说什么?』
『希望她能够像那边飞翔的海猫一样健康啊』
『明明是个作家,这名字起得可有失水准啊』
『不行吗』
『海猫,怎么说呢……嗯……』
『很可爱啊』
『要不,叫鸥吧』
『可那又不是海鸥』
『说是这么说,长得蛮像啊』
『长得蛮像,亏你还是个学者呢,这么随意』
『这是两码事啊』
『鸥……久岛鸥……不过确实像是个好名字啊』
『对吧』

「鸥?」
「嗯?」
 好像太过于沉浸了,羽依里叫了我一声。
「你没事啊?」
「嗯,没事。抱歉啊,老伯,非常谢谢你」
「没事。希望下次我能看到你们的孩子带着这个行李箱出现在这里呢」
「不不不,所以说啊。还有老伯,你到底想活多久啊」
「哈哈哈」

※※

 我们离开了皮包店,踏上归途。
 太阳已经基本落山了,天空中也能看到不少星星。
 我坐上崭新的箱子,让羽依里推着,仰望着天空。
「对了! 羽依里,你说我们能不能找到啊」
「啊」
 话音刚落,羽依里明显有点慌张。
「找到……你是说……孩子的名字?」
「噗」
 差点从箱子上摔下来。
「为・什・么・呀」
「不是,顺着刚才的话题就这意思啊」
「我是说海盗船啊」
「啊,那个啊。不过真的有吗」
「当然啊,当然有啊」
「你这哪来的自信心啊」
 羽依里一脸无奈。
 这份自信从哪来的?当然是因为这里是我曾经来过的小路。
 因为这里是那时候大家一起走过的小路。
 因为这里是和胡子猫团的伙伴们去冒险的小路。
 因为这里是通向那份回忆的小路。
「反正行李箱也翻新了,那么明天继续寻找海盗船,出发!」
「好好」
 行李箱发出清脆的声音,再一次踏上了似曾相识的小路。